オイラー型流体シミュレーションのための4分木縦長セル


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本研究では,大規模な深水シミュレーションを効率的に実行するための新しい格子構造である4分木縦長セル(Quadtree Tall Cells)を提案する.従来の縦長セル手法は,液体表面付近の微細な挙動を捉えることを目的としていたが,本手法では縦長セルを水平方向にも分割することで,より積極的な適応分割を可能とし,セル数の大幅な削減を実現する.本手法の基盤は,縦長セルグリッドに特化したポアソン方程式に対する新しい変分形式にあり,サイズの異なるセル間の遷移を自然に処理できる.これにより,実績のある共役勾配法の適用が可能となるだけでなく,剛体との双方向カップリングも一体的に扱うことができる.本手法は,8分木や4面体など従来の一般的な適応格子法と比較して,格子構築が非常に簡潔であるという点で大きく異なる.格子の分割には4分木(2次元)を用い,それを鉛直方向に拡張することで縦長セル構造を構成する.提案する4分木縦長セルは,従来の一様な縦長セルに比べて,計算効率と性能の両面で優れた結果を示す.

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論文

  • Fumiya Narita, Nimiko Ochiai, Takashi Kanai, Ryoichi Ando: “Quadtree Tall Cells for Eulerian Liquid Simulation,” SIGGRAPH Conference Papers ’25, Vancouver, BC, Canada, August 10–14, 2025.
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