深層学習を用いた2D平面の脆性破壊形状生成

ガラスやコンクリートなどの平面形状の物体の脆性破壊は,現実世界でもよく見られる.剛体の破壊アニメーションは,物理指向のシミュレーションを用いることで,印象的な効果を得ることができる.しかし,現実的な破壊アニメーションを生成するために物理指向のシミュレーション手法を選択する場合,シミュレーションコストが高くなる傾向にある.一方,ゲームなどのリアルタイムアプリケーションでは,衝突時にボロノイベースのセグメンテーションを適用した事前破壊パターンが一般的に用いられる.しかし,このようなパターンの形状は単調であり,複雑な骨折形状をリアルに表現することは難しい.そのため,リアルな特徴を実現しつつ,計算コストを抑えたトレードオフの手法が望まれる.

本論文では,Bullet Physics のような剛体シミュレーションライブラリに適用可能な,ボロノイベースの平面形状物体のセグメンテーションに代わる,条件付き敵対的生成ネットワーク (cGAN) 技術をベースとした機械学習スキームを提案する.我々の学習データセットは,境界要素法 (BEM) に基づく破壊シミュレーションによって生成されたものである.ボロノイベースのセグメンテーションと比較して,我々の手法は,より複雑な破壊形状を合理的な計算コストで現実的に生成することができる.

論文

  • 黄 宇航,金井 崇: “深層学習ベース脆性破壊シミュレーションに向けて – 条件付きGAN による平面オブジェクトの破壊形状予測 –”,画像電子学会誌,Vol.50, No.4 (ビジュアルコンピューティング特集号), pp.558-567, 2021.
    [論文]
  • Yuhang Huang, Takashi Kanai: “Brittle Fracture Prediction Method for Plane Shapes Using Conditional-GANs”, Proc. 12th Asian Forum on Graphic Science (Kunming, China, 9-12 August 2019), Article No.25, 2019.