DeepFracture: ニューラル離散表現学習を用いた脆性破壊予測の生成的アプローチ

脆性破壊アニメーションの分野において,物理ベースのシミュレーション手法を用いて現実的な破壊アニメーションを生成することは計算コストが高い.Voronoi 図やあらかじめ破砕されたパターンに基づく手法はリアルタイムアプリケーションにおいて有効であるが,これらの手法は実行時における衝突条件を考慮して破砕形状を決定することができない.本論文では,実行時の衝突ダイナミクスに基づいて破砕形状を予測する新たな学習ベースの手法を提案する.本手法は,境界要素法(BEM)による脆性破壊シミュレーションを用いて学習データを生成し,剛体シミュレーションと統合することで,より現実的な脆性破壊アニメーションを実現する.衝突状況と破砕形状をディープラーニングフレームワークに統合するために,インスタンスセグメンテーションやセマンティックセグメンテーションとは異なる生成的幾何セグメンテーションを導入し,3D 破片形状を表現する.また,本研究では,連続的な衝突の潜在コードを共有する複数の離散的な破砕パターンを最適化する課題に対処するために,8 次元の潜在コードを提案する.このコードは,特定の破砕パターンに対応する離散正規分布に従い,潜在インパルス表現設計のもとで定義される.本手法により,ニューラル離散表現学習を用いた破砕形状の予測が可能となる.実験結果から,本手法は既存の手法と比較してより詳細な脆性破壊形状を生成し,同等の解像度において従来のシミュレーション手法よりも計算時間を短縮できることを示す.

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論文

  • Yuhang Huang, Takashi Kanai: “DeepFracture: A Generative Approach for Predicting Brittle Fractures with Neural Discrete Representation Learning”, Computer Graphics Forum, accepted.
  • Yuhang Huang, Takashi Kanai: “Brittle Fracture Animation with VQ-VAE-Based Generative Method”, 23rd ACM SIGGRAPH / Eurographics Symposium on Computer Animation (SCA2024) Posters, No.3, pp.1-2 (Montreal Canada, 21-23 August), 2024.
    Paper (publisher’s version)
  • 黄 宇航, 金井 崇: “VQ-VAEによるニューラル離散3次元破壊形状学習”, Visual Computing 2024 ポスター, P39, 東京, 9月, 2024.

以下は,コンセプトは同じだがネットワークに cGAN を使っていた頃の少し古い論文:

  • Yuhang Huang, Takashi Kanai: “DeepFracture: A Generative Approach for Predicting Brittle Fractures”, arXiv:2310.13344, 2023.
    Paper (arXiv)
  • 黄 宇航, 金井 崇: “敵対的生成ネットワークを用いた任意3次元形状の脆性破壊予測”, Visual Computing 2023, 東京, 9月, No.35, 2023.
  • 黄 宇航, 金井 崇: “特徴ベクトルからの破壊形状の予測に関する研究”, 画像電子学会 ビジュアルコンピューティングワークショップ 2023, 葉山, 神奈川, 12月, 2023.
  • 黄 宇航, 金井 崇: “3D-GANによる破壊分割形状予測結果における形状再構築手法の検討”, 画像電子学会 ビジュアルコンピューティングワークショップ 2022, 諏訪湖,長野, 11月, 2022.