Projective Dynamics におけるスモールステップ法の計算量削減


本研究では,弾性体シミュレーション手法の一つである Projective Dynamics におけるスモールステップ法について,その計算量を削減する手法を提案する.インタラクティブなシーンにおける CG では, シミュレーションの質と計算量のトレードオフが常に課題となっている.スモールステップ法は,求解のための繰り返し計算を途中で打ち切る代わりに,描画フレーム間の時間発展を細かいサブステップに分割することにより,数値ダンピングの軽減という形でシミュレーションの改善を図るものである.ここでは,スモールステップ法が, 描画されないサブステップの計算を暗に前提としている点に注目し,その時間方向の冗長性を省略する.具体的には,加速度を用いる前進オイラー法で時間発展を行う DummyStep を導入し,Projective Dynamics のサブステップの半分を DummyStep で代替する.結果として,非常に小さい誤差でスモールステップ法を代替することができ,さらに計算量を約半分にすることができる.ただし,DummyStep は一部安定性の問題が存在するため,本研究ではさらに手法の安定性を高める修正手法を2つ提案する.例題を通じて,本手法が計算量を大幅に削減しながら安定してスモールステップ法を代替できることを実証する.

論文

  • 高橋 初来,金井 崇: “Projective Dynamics におけるスモールステップ法の計算量削減”,画像電子学会誌,Vol.50, No.4 (ビジュアルコンピューティング特集号), pp.568-579, 2021.
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